薬局ラボ 薬剤師のための全国薬局データベース/60,354軒

ドラッグストア併設と調剤専門で、遅番の多さが4倍以上違う

この記事の要点

「大手チェーンだから安定している」と言われます。しかし薬局チェーンの中身は二つに分かれていて、 どちらを選ぶかで働く時間帯がまったく変わります。厚生労働省が公表している全国60,354軒の 営業データ(2025年12月1日時点)を集計して、その差を実数で確認しました。

まず結論|薬局の業態で遅番の割合が2.5倍違う

ドラッグストア併設系の薬局チェーンは、調剤専門系の薬局チェーンより遅番が発生しやすい業態です。 厚生労働省の公表データで、平日19時以降まで営業している店舗の割合を数えた結果は次のとおりです。

ドラッグストア併設系 4,932店舗 71.7% 調剤専門系チェーン 5,204店舗 28.8% 差は約2.5倍。全国平均は37.1%
図1:平日19時以降まで営業している店舗の割合(2025年12月1日時点、30店舗以上のチェーンを集計)

※参考:厚生労働省「医療情報ネット」オープンデータ(厚生労働省(e-Govデータポータル))/サービス種別「薬局」全60,354軒から集計

日曜を営業日としている割合でも同じ方向の差が出ました。 ドラッグストア併設系が15.9%、調剤専門系チェーンが7.6%で、 約2.1倍です。遅番と日曜出勤はセットで動きます。

表1:業態別の営業データ(30店舗以上のチェーンを集計)
業態店舗数19時以降まで
(遅番)
日曜営業
(日曜出勤)
土曜営業
(土曜出勤)
ドラッグストア併設系 4,932 71.7% 15.9% 80.8%
調剤専門系チェーン 5,204 28.8% 7.6% 93.4%
チェーン以外(地域の調剤薬局) 50,186 34.6% 6.1% 93.6%

業態の分類は、各社が小売店舗(ドラッグストア)を展開しているかという公知の事実にもとづく当サイトの分類です。 公表データに業態の項目はありません。

なぜ薬局の業態で営業時間が分かれるのか

薬局の営業時間は、その薬局が「何に合わせて開いているか」で決まります。 調剤専門の薬局は、多くが医療機関の近くにあり、その医療機関の診療時間に合わせて開けています。 クリニックが18時に診療を終えれば、処方箋も発生しないため、薬局が夜遅くまで開ける理由がありません。

一方、ドラッグストアを併設している店舗は、医薬品以外の物販もあわせて営業しています。 小売店舗としての営業時間に合わせるため、夜間まで開いている店舗が多くなります。 同じ薬剤師の仕事でも、店舗が診療時間に合わせているか、小売の営業時間に合わせているかで終業時刻が変わります。

※参考:厚生労働省「薬局機能情報提供制度」(厚生労働省)/営業日・営業時間は薬局が都道府県へ届け出る項目のひとつ

この見方は土曜営業の数字とも整合します。土曜を営業日としている割合は、 調剤専門系チェーンが93.4%、ドラッグストア併設系が80.8%で、 遅番とは逆に調剤専門系のほうが高くなりました。 土曜午前に診療するクリニックが多く、調剤薬局はそれに合わせて開ける必要があるためと考えられます。

ここで述べた背景は、営業日・営業時間の分布から説明がつく範囲の解釈です。 各社が公表している方針ではありません。 公表データには理由にあたる項目が存在せず、分布までしか分かりません。 実際の運営方針は各社へご確認ください。

薬局チェーン別の遅番・日曜出勤の実数

30店舗以上ある薬局チェーン20社を、平日19時以降まで営業している店舗の割合が高い順に並べました。 上位6社と下位6社を図にしています。

全国平均 37.1% スギ薬局 86.5% 1,337店舗 サンドラッグ 86.5% 171店舗 トモズ 78.3% 175店舗 ウエルシア 73.8% 1,811店舗 マツモトキヨシ 69.5% 400店舗 杏林堂 68.4% 98店舗 そうごう薬局 28.5% 550店舗 たんぽぽ薬局 27.2% 235店舗 フロンティア 24.9% 169店舗 中央薬局 23.7% 392店舗 アイン薬局 21.1% 1,022店舗 ファーマライズ 19.7% 183店舗
図2:薬局チェーン別・平日19時以降まで営業している店舗の割合(2025年12月1日時点)。赤=上位6社、緑=下位6社

※参考:厚生労働省「医療情報ネット」オープンデータ(厚生労働省(e-Govデータポータル))

表2:薬局チェーン別の営業データ(30店舗以上・遅番の多い順)
チェーン店舗数19時以降まで日曜営業土曜営業
スギ薬局1,337 86.5%20%66%
サンドラッグ171 86.5%7%99.4%
トモズ175 78.3%21.1%85.1%
ウエルシア1,811 73.8%17%85.7%
マツモトキヨシ400 69.5%19%89.3%
杏林堂98 68.4%9.2%84.7%
キリン堂139 64.7%2.9%62.6%
ココカラファイン319 56.7%12.5%83.1%
⋮ (中位4社は省略) ⋮
なの花薬局376 31.4%7.2%98.1%
ツルハ482 29.3%6.4%91.1%
そうごう薬局550 28.5%10.7%95.8%
たんぽぽ薬局235 27.2%2.1%83.8%
フロンティア169 24.9%3.6%80.5%
中央薬局392 23.7%5.4%91.6%
アイン薬局1,022 21.1%8.1%95.4%
ファーマライズ183 19.7%6%92.3%
チェーン以外(地域の調剤薬局)50,186 34.6%6.1%93.6%

チェーンは薬局名からの推定です。厚生労働省の公表データに法人名の項目がないため、 名称に各チェーン名を含むかで判定しています。屋号が異なるグループ店舗は集計に含まれません。 母数が小さいと比率が安定しないため、30店舗以上のチェーンに限っています。

薬局に応募する前に確認する4ステップ

  1. 応募先の業態を確認する。 ドラッグストア併設か、調剤専門か。ここで遅番と日曜出勤の可能性が大きく変わります。
  2. その店舗の営業時間を調べる。 当サイトのエリアページで市区町村ごとの一覧を確認できます。 店舗単位の営業終了時刻を掲載しています。
  3. 薬剤師の人数を聞く。 営業時間が長くても、薬剤師が複数いてシフトを組めるなら個人の勤務時間は長くなりません。 逆に1人薬剤師の店舗では、営業時間がそのまま勤務時間に近づきます。
  4. 閉店後の業務を聞く。 営業時間には、レセプト業務・在庫管理・清掃などの閉店後の作業が含まれていません。 終業時刻は営業終了時刻より遅くなるのが通常です。

※参考:厚生労働省「薬局機能情報提供制度」(厚生労働省)/公表されるのは営業日・営業時間までで、人員体制や閉店後の業務は含まれない

薬剤師が注意すべきケース

1人薬剤師の店舗では、業態による差より人員体制の影響が大きくなります。 薬剤師が1人しか配置されていない薬局では交代要員がいないため、 店舗の営業日・営業時間がそのまま自分の勤務に直結します。 調剤専門で営業時間が短くても、休みを取りにくい場合があります。 薬剤師の人数は公表データに含まれていないため、必ず面談で確認してください。

在宅対応・輪番の休日当番がある薬局では、店舗の営業日以外に業務が発生します。 在宅訪問や地域の休日当番は、店舗が閉まっている日にも発生することがあります。 これらは当サイトが使用している公表データに項目がなく、集計できていません。

薬局の公表データで分からないこと

当サイトが集計しているのは、薬局が都道府県へ届け出た営業日と営業時間です。 次の項目は公表データに含まれておらず、当サイトでは分かりません。

表3:公表データで分かること・分からないこと
項目公表データ
営業日(土・日・祝)分かる
営業時間(開店・閉店)分かる
所在地・薬局名分かる
実際のシフト・個人の勤務時間分からない
残業時間・閉店後の業務量分からない
年収・賞与・昇給分からない
薬剤師の配置人数分からない
在宅対応・休日当番の有無分からない
研修制度・異動の範囲分からない

当サイトは、応募先を絞り込む一次スクリーニングまでしか担えません。 表の下半分にあたる部分は、求人票と面談で確認する必要があります。 当サイトから個別の薬局へ応募の取り次ぎを行うことはできません。

よくあるご質問

Q大手の薬局チェーンは残業や遅番が多いのですか?

Aチェーンによって大きく異なります。厚生労働省の公表データ(2025年12月1日時点)で平日19時以降まで営業している店舗の割合を数えると、最も高いスギ薬局が86.5%、最も低いファーマライズが19.7%で、4.4倍の開きがありました。業態でまとめると、ドラッグストア併設系が71.7%、調剤専門系チェーンが28.8%です。ただし営業時間は届出内容であり、個人の残業時間そのものではありません。

Qドラッグストア併設の薬局と調剤薬局は、どちらが日曜に休めますか?

A調剤専門系のほうが休めます。日曜を営業日としている店舗の割合は、ドラッグストア併設系が15.9%、調剤専門系チェーンが7.6%で、2.1倍の差があります。チェーンに属さない地域の調剤薬局は6.1%で、調剤専門系とほぼ同じ水準です。

Q調剤薬局のほうが土曜出勤は多いのですか?

A多いです。土曜を営業日としている割合は、調剤専門系チェーンが93.4%、ドラッグストア併設系が80.8%で、遅番とは逆の結果になりました。調剤専門の薬局は近隣の医療機関の診療日に合わせており、土曜午前に診療するクリニックが多いためと考えられます。

Q薬剤師の転職先として、チェーンと地域の調剤薬局はどちらを選ぶべきですか?

A公表データで比べられるのは営業日と営業時間だけです。チェーンに属さない地域の調剤薬局(全国50,186軒)は、遅番34.6%・日曜営業6.1%・土曜営業93.6%で、調剤専門系チェーンに近い水準でした。つまり働く時間帯だけで見れば、地域薬局と調剤専門チェーンの差は小さく、ドラッグストア併設系だけが長時間側に離れています。年収・研修体制・異動の有無は公表データに含まれていないため、比較できません。

Q薬局チェーンの店舗数はどこで調べられますか?

A厚生労働省が「医療情報ネット(ナビイ)」のオープンデータとして、全国の薬局の名称・所在地・営業日・営業時間を公開しています。当サイトはこのデータを集計しています。ただし公表データに法人名の項目がないため、当サイトのチェーン判定は薬局名からの推定です。屋号が異なるグループ店舗は集計に含まれません。

Q営業時間が長い薬局は、必ず勤務時間も長くなりますか?

Aそうとは限りません。営業時間が長い店舗ほどシフト制で早番と遅番を分けている場合があり、個人の勤務時間が営業時間と一致するわけではありません。逆に薬剤師が1人しかいない薬局では交代要員がいないため、店舗の営業時間がそのまま勤務時間に近づきます。公表データから分かるのは「その店舗に遅番という枠が発生しうるか」までです。

免責事項

本記事は厚生労働省が公表しているデータを集計したものであり、 特定の薬局・チェーンの優劣を評価するものではありません。 営業日・営業時間は各薬局の届出内容であり、臨時休業や変更は反映されていません。 掲載している数値の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。 勤務条件については、必ず求人票および各社との面談でご確認ください。

参考文献

  1. 医療情報ネット(ナビイ)オープンデータ 2025年12月1日時点版
    厚生労働省(e-Govデータポータル) https://data.e-gov.go.jp/data/dataset/iryou_teikyouseido_mhlw
  2. 薬局機能情報提供制度について
    厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html
  3. 衛生行政報告例(薬局数・従事者数などの統計)
    厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19.html

リンクはすべて掲載時点で表示を確認しています。リンク切れにお気づきの場合はお知らせください。

この記事のデータについて

集計元は医療情報ネット(ナビイ)オープンデータ/厚生労働省(2025年12月1日時点)に収録されている 全国60,354軒の薬局データです。標本調査ではなく全数を数えています。 同じファイルを取得すれば、どなたでも同じ数字を再現できます。
営業日・営業時間は薬局が届け出た内容です。 実際のシフト・残業時間・年収・オンコール・在宅対応の有無は含まれていません。 営業日が土曜でも、シフト制で交代に休める職場は多くあります。 勤務条件は必ず求人票と面談でご確認ください。

このテーマの全体像

この記事は「調剤薬局とドラッグストアの違い」というテーマの1本です。 全体像とほかの論点は、まとめページで整理しています。

調剤薬局とドラッグストアの違い|薬剤師の働き方は業態で決まる

同じ薬剤師の仕事でも、調剤薬局とドラッグストア併設では働く時間帯がまったく違います。全国60,354軒の届出データで実数を確認します。

このテーマの記事 3本を、 まとめページから辿れます

調剤薬局とドラッグストアの違い|関連する記事

勤務先を調べる

ここまでは全国の傾向です。実際に検討している薬局や市区町村の数字は、個別に確認できます。 年収・薬剤師の配置人数・残業時間は公表されていないため、そこから先は求人を持っている側に聞くことになります。

薬局名で調べる 勤務地から調べる 転職サービスを見る

ほかのテーマ