都市部と地方で、薬局の遅番は2.4倍違う
この記事の要点
- 薬局の営業時間は、都市規模にきれいに比例します。都市が大きいほど遅くまで開いています。
- 平日19時以降まで営業する薬局の割合は、東京23区55.7%/政令指定都市44.2%/その他の市33.6%/町村23.7%。
- 東京23区と町村では2.4倍の差があります。
- 日曜を営業日とする割合も同じ順序(東京23区12.2%〜町村4.4%、2.8倍)。
- 土曜営業だけは差が小さく(95.1%〜89.5%)、都市規模を問わず薬局勤務の標準形です。
- ただし町村部は薬剤師が1人の薬局もあり、営業時間が短くても休みにくい場合があります。
薬剤師の転職で勤務地が変わると、同じ「薬局勤務」でも終業時刻の相場が変わります。 厚生労働省が公表している全国60,354軒の薬局データ(2025年12月1日時点)を 都市規模別に集計したところ、きれいな階段状の差が出ました。
まず結論|都市規模で薬局の遅番が2.4倍違う
都市部の薬局ほど、平日の営業終了時刻が遅くなります。 平日19時以降まで営業している薬局の割合を都市規模別に数えた結果は次のとおりです。
※参考:厚生労働省「医療情報ネット」オープンデータ(厚生労働省(e-Govデータポータル))/全国60,354軒を市区町村名から都市規模に分類して集計
東京23区の55.7%に対し、町村部は23.7%。 約2.4倍の開きがあります。 間に政令指定都市(44.2%)とその他の市(33.6%)が順に並び、 例外のない階段になりました。
都市規模別の薬局データ
| 区分 | 薬局数 | 19時以降まで (遅番) | 日曜営業 (日曜出勤) | 土曜営業 | 大手チェーン系 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京23区 | 4,772 | 55.7% | 12.2% | 95.1% | 22.5% |
| 政令指定都市 | 13,791 | 44.2% | 7.6% | 93.8% | 17.3% |
| その他の市 | 37,902 | 33.6% | 6.4% | 92% | 16.4% |
| 町村 | 3,889 | 23.7% | 4.4% | 89.5% | 12.6% |
日曜営業と大手チェーン比率も、遅番と同じ順序で並びます。 一方、土曜営業だけは95.1%から89.5%までの範囲に収まり、差がほとんどありません。 土曜出勤は都市規模と関係なく、薬局勤務に共通する条件です。
※参考:厚生労働省「薬局機能情報提供制度」(厚生労働省)/営業日・営業時間は薬局が都道府県へ届け出る項目
都市規模は市区町村名から判定した当サイトの分類です(「◯◯市◯◯区」を政令指定都市、 東京都の「◯◯区」を東京23区としています)。公表データに都市規模の項目はありません。
なぜ都市部の薬局は遅くまで開いているのか
薬局の営業時間は、近隣の医療機関の診療時間と、通勤する人の生活時間に影響されます。 都市部では夜間診療を行うクリニックが多く、勤務帰りに受診する人がいるため、 処方箋が夜まで発生します。薬局もそれに合わせて開ける必要があります。
大手チェーンの比率が都市部で高いことも、同じ方向に働きます。 ドラッグストアを併設しているチェーンは物販の営業時間に合わせて夜まで開いており、 その店舗は都市部に集中しています。業態による違いは チェーンで働き方が4倍違うで詳しく扱っています。
※参考:厚生労働省「調剤医療費(電算処理分)の動向」(厚生労働省)/調剤の件数・金額の動向は地域別にも公表されている
ここで述べた背景は、分布から説明がつく範囲の解釈です。 公表データには理由にあたる項目がなく、因果関係を確かめることはできません。 分かるのは「都市規模と営業時間に対応関係がある」ところまでです。
地方の薬局で薬剤師が注意すべきこと
営業時間が短いことと、休みやすいことは別です。 町村部の薬局は平日19時以降まで営業している割合が23.7%と低い一方、 薬剤師が1人しか配置されていない薬局もあります。 その場合は交代要員がいないため、営業日がそのまま自分の出勤日になり、 有給休暇も取りにくくなります。薬剤師の配置人数は公表データに含まれていないため、 必ず面談で確認してください。
町村部では在宅対応や地域の休日当番が回ってくることがあります。 薬局の数が少ない地域ほど、1軒あたりが担う役割は広くなります。 これらは店舗の営業日以外に発生する業務ですが、公表データには項目がなく集計できていません。
当サイトで分かるのは、店舗の営業日と営業時間までです。 年収・人員体制・在宅対応の有無・研修制度は公表されていないため、扱えません。 当サイトから個別の薬局へ応募を取り次ぐこともできません。
よくあるご質問
Q都市部と地方では、薬局の働き方はどう違いますか?
A都市部ほど営業時間が長くなります。厚生労働省の公表データ(2025年12月1日時点)で平日19時以降まで営業している薬局の割合を都市規模別に数えると、東京23区が55.7%、政令指定都市が44.2%、その他の市が33.6%、町村が23.7%でした。東京23区と町村では2.4倍の差があります。
Q地方の薬局のほうが早く帰れますか?
A営業時間で見れば、そう言えます。町村部の薬局で平日19時以降まで営業しているのは23.7%で、東京23区の55.7%を大きく下回ります。日曜を営業日としている割合も町村4.4%に対し東京23区12.2%で、2.8倍の差があります。ただし営業時間は届出内容であり、個人の残業時間そのものではありません。また町村部では薬剤師が1人しかいない薬局もあり、その場合は交代要員がいないため休みにくくなります。
Q東京の薬局は残業が多いのですか?
A東京23区は平日19時以降まで営業している薬局が55.7%と、全国平均37.1%を大きく上回ります。日曜営業も12.2%で全国平均7%の2倍近くあります。ただしこれは店舗の営業時間であり、シフト制で早番・遅番が分かれていれば個人の勤務時間は営業時間と一致しません。
Q薬局の大手チェーンは都市部に多いのですか?
A多くなります。大手チェーン系と判定できる薬局の割合は、東京23区22.5%、政令指定都市17.3%、その他の市16.4%、町村12.6%でした。都市規模が小さいほど、地域の調剤薬局の比率が高くなります。なおチェーンの判定は薬局名からの推定です。
Q土曜出勤は都市部と地方で違いますか?
A大きくは違いません。土曜を営業日としている薬局の割合は、東京23区95.1%、町村89.5%で、遅番や日曜営業ほどの差はありません。土曜営業は都市規模にかかわらず薬局勤務の標準形です。
免責事項
本記事は厚生労働省が公表しているデータを集計したものであり、特定の地域や薬局の優劣を評価するものではありません。 営業日・営業時間は各薬局の届出内容であり、臨時休業や変更は反映されていません。 勤務条件については、必ず求人票および面談でご確認ください。
参考文献
- 医療情報ネット(ナビイ)オープンデータ 2025年12月1日時点版
厚生労働省(e-Govデータポータル) https://data.e-gov.go.jp/data/dataset/iryou_teikyouseido_mhlw - 薬局機能情報提供制度について
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html - 最近の調剤医療費(電算処理分)の動向(令和7年度)
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/cyouzai_doukou_r07.html - 衛生行政報告例(薬局数・従事者数などの統計)
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19.html
リンクはすべて掲載時点で表示を確認しています。リンク切れにお気づきの場合はお知らせください。
この記事のデータについて
集計元は医療情報ネット(ナビイ)オープンデータ/厚生労働省(2025年12月1日時点)に収録されている
全国60,354軒の薬局データです。標本調査ではなく全数を数えています。
同じファイルを取得すれば、どなたでも同じ数字を再現できます。
営業日・営業時間は薬局が届け出た内容です。
実際のシフト・残業時間・年収・オンコール・在宅対応の有無は含まれていません。
営業日が土曜でも、シフト制で交代に休める職場は多くあります。
勤務条件は必ず求人票と面談でご確認ください。
このテーマの全体像
この記事は「薬剤師の勤務地選び」というテーマの1本です。 全体像とほかの論点は、まとめページで整理しています。
薬剤師の勤務地選び|地域で働き方はどう変わるか
勤務地が変われば、同じ薬局勤務でも終業時刻の相場や勤務先の数が変わります。都道府県・都市規模ごとの実数をまとめました。
このテーマの記事 4本を、 まとめページから辿れます
薬剤師の勤務地選び|関連する記事
勤務先を調べる
ここまでは全国の傾向です。実際に検討している薬局や市区町村の数字は、個別に確認できます。 年収・薬剤師の配置人数・残業時間は公表されていないため、そこから先は求人を持っている側に聞くことになります。